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SMBC日興証券 株式会社 商品業務部長

櫻井歩 様

「分かりやすさ」は時代の要請 投資の自由化のなかで

 ―証券業務に長く携わっておられる櫻井さんが「金融知力インストラクター養成講座」を受講された経緯についてお聞かせください。

私は証券業務に身をおくなかで、1980年代の未曾有のバブル経済とその崩壊、20世紀末の金融危機から金融ビッグバン、サブプライム問題からリーマンショック、そしてアベノミクスと、様々な市場の局面を経験して参りました。これらの出来事をたどってきますと、日本人の金融知力の向上と金融販売業者の分かりやすい説明は、時代の要請と言えると思います。特に金融ビッグバンは、私ども証券業界の側にとっては株式委託手数料自由化など、グローバルな競争の時代に突入する契機となりましたが、お客さまである消費者にとってはその後の確定拠出年金制度、NISAの導入などにつながる「投資の自由化」あるいは「投資の民主化」の幕開けであったと考えております。

総合証券会社に求められるスキル

―自由化、或いは民主化には頑張って努力した人と、そうでない人との間に格差を生む側面もありますね。

確かに自由化にはそういった側面がありますね。金融ビッグバンを受けて手数料の割安なオンライン取引が急速に普及しましたが、私どもは総合証券会社として多様化するお客様のニーズに応えるために、金融商品の品揃えの充実化を図りました。対面証券ならではのアドバンテージはお客様と直接向き合うことができることにあります。お客様ごとに期待されるリターンの水準も異なれば、リスク許容度も様々です。それぞれのお客様のニーズ、リスク許容度をきちんと理解したうえで、弊社で取り揃えた豊富な金融商品のラインナップから、最適な商品群を「分かりやすい言葉」で提案させて頂く。これは決して簡単なことではありませんが、時代の要請のなかで、私どもが身につけなければならない必須のスキルでした。「金融知力インストラクター養成講座」を受講したのは、そうした経緯からです。

―実際に「金融知力インストラクター養成講座」を受講された感想をお聞かせください。また、受講される前と後で変化はありましたか?

お客様の前で金融商品に関してお話しする機会は、人よりもかなり多い方でしたので、自分では分かりやすい言葉で伝えられていると思っていたのですが、受講してみて、改めて数多くの気づきがありました。特に金融商品に慣れておられない方々にお話しするには、根本の概念から大きく変える必要があると感じました。考えてみると学生時代の私は金融知力も低く、証券会社への内定が決まったことをきっかけに、経済新聞を読み始めましたが、財務面や市況面に書かれていることは、十分に理解することができませんでした。ところが、就職して数カ月経過してみると、当たり前のように専門用語を使って同僚と投資の話をしている。今一度学生時代の自分の金融知力を思い出し、分かりやすくお話しすること。これが「金融知力インストラクター養成講座」の受講を通じて改めて感じたことです

「金融知力インストラクター養成講座」の受講を終えて、しばらくして確定拠出年金制度(日本版401k)を導入しているある企業の労働組合を通じ、組合員の方々の前で投資信託についてお話しする機会がありました。証券会社と、お取り引きのある方々と異なり、金融商品については必ずしもお詳しくなく、同時に、将来に漠然とした不安を抱いている人も少なくありませんでした。「金融知力インストラクター養成講座」で学んだことを思い起こし、できるだけ平易な言葉で、生活の身近な出来事を例に挙げて説明することを心掛けました。相手の立場に立った説明をするように自分に何度も言い聞かせました。参加された方々が抱えておられる漠然とした不安を明確化し、リスク許容度を念頭に置いたプランを組む必要性についての話を終えたとき、参加者の反応がとても良かったのを覚えています。

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子供向けお金教室に登壇

「分かりやすさ」が求められる

―最後に櫻井さんの今後の取り組みや、「金融知力インストラクター養成講座」へのご要望などをお聞かせください。

なによりも私が感じるのは、「分かりやすさ」は今まで以上に求められてきているということです。たとえば、一昔前は携帯電話を購入すると分厚い取扱説明書が付いてきましたよね。あの分厚さを見ただけで読む気が失せてしまうような感じでしたが(笑)。ところが、現在のスマートフォンの多くは説明書がなく、適当に操作しているうちに自然と扱い方が身につく仕様になっています。これは携帯電話に限ったことではなく、一般消費財全般に言えることです。時代は「分かりやすさ」を求めています。証券業界、金融業界も同じで、これからは更なる「分かりやすさ」を求められるのではないでしょうか。その意味では、金融知力普及協会が果たす役割もより重要となりますね。私も日々の業務はもちろんのこと、ライフワークとして日本の金融知力を高めるために、微力ながら尽くしたいと考えております。